淡色の深い鍋 焦げ付いた跡は無視して
まずニンジンを火にかけよう

色とりどりのままで 欲張りな子供のままで
ねえ作ってよ野菜スープ


日が暮れて風が吹いて
あの家の窓からはいい匂いが
吹く風に乗って家路を急がせる

買い物しなくても大丈夫 冷蔵庫にあるもので
ねえ作ってよ野菜スープ


水に浮かべ ありふれたアイデアを浮かべ

弱火にかけ ゆっくり煮立て
たまにかき混ぜて煮立てて
アクをすくって ちょっとだけつまんでみよう
隠し味はこれと言ってない だけど愛さなきゃね
ねえ 気づいてるかい
味がちょっと薄すぎるぜ


不味いなっていう表現も
鬱陶しいなって思えることも
独りじゃない証にはなってる

何か足りなくても大丈夫
スパイスは僕らの愛情で仕上げる


水に浮かべ 下らないアイデアを浮かべ

無駄にポリシーがあって 好みがあって
おいしいものにはならなくても
温まれば深みはなくたっていい
共に笑い 共に明日を乗り切っていけるように
ねえ 作ってよ
栄養満点のスープ


嘘をついて
適当に感情を爆発させた日も
君の愛情を逆手にとった日も
母のように優しく差しのべてくれる手
その手で
大きめの具をちょっと多めによそってくれよ
僕のそばでずっと笑っていてよ
君と僕とニンジンとタマネギとキャベツの唄うたうよ


昨日の残りをラップして 温めて
それだけで 明日もまた食べられるかな